水曜日の定例ミーティングが思いの外早く終わり、目黒で昼食後にバスで戻る。
この時間のバスは乗車率10%くらいで空席あり。
しかも老人や子供連れの女性が多くて、働き盛りのイケメン(ぼくのことです)には、テンポ感や空気感がユルすぎる。
ユルいというかヌルい。
なんだかとても眠くなるので、運転手さんの後ろの席に座る。
他にも席が空いていたけれど、敢えて1番前の運転手さんの後ろの席を選んだ。
なぜか?
実はこの席は前輪のフェンダーがある関係で、階段2段くらい高い席なのだ。
よって足腰の弱いおじいちゃんやおばあちゃん、それに子供や妊婦さんには推奨されていない席なので、働き盛りのイケメン(ぼくのことです)が座ってもよろしいのです。
席に座ってぼんやりしていると2つ目くらいのバス停で、ハットを被って、仕立てのいいスーツを着たおじいちゃん(80歳くらい)が乗ってきた。
それはいいのだけれど、このおじいちゃん、他に席も空いているのに、あろうことかぼくの真横に立って手すりに掴まった。
足腰が弱っている風には見えなかったけれど、ヒザが痛かったりするのかも知れないと思い
「席、替わりますよ。どーぞ」
と声をかけたら
「すぐに降りるので大丈夫だよ。お兄ちゃん(ぼくのことです)ありがとう」
とのこと。
あまり年寄り扱いするのも失礼だし、それを嫌がる人もいるので、無理に勧めたりせず席を譲るのはやめにした。
…と。
次のバス停で、おばあちゃんや、おばさんや、ぼくくらいの年齢の女性が数人乗ってくる。
みんな運転手席のすぐ後ろなので、おじいちゃんと、ぼくのことを見る。
そしてぼくを一瞥して
「ダメなイケメン(ぼくのことです)だな、こいつ」
とでも言いたげな感じ。
どう考えても、年寄りに席を譲らずに、ノウノウと座っているイケメン(ぼくのことです)の図式だ、これ。
「席を譲るといったのに、このじいちゃんが断ったんですよ!!」
と、真実を伝えたい気持ちが込み上げてくるが、別にクレーム入れられてもいないのに言い訳するのも馬鹿馬鹿しい。
なんなんだ、この、小さな親切やマナーを踏みにじられた揚げ句に、席も譲らないダメ人間みたいに見られてる(と感じる)状況。
…と。
次のバス停で降りるおじいちゃん。
なにこの、逆に置いてけ堀にされてる感じ。
昼下がりのバスには魔物が住む…。
本所の七不思議ならぬ、目黒のバス不思議でした。