デザインフェスタで若い連中と話していると、何か作りたいという情熱は同じでも、作りたいモノを明確にイメージするイマジネーションと、それを人に伝えて賛同者や協力者や資金を得る情熱と説得力が決定的に違うと思った。
10歳も20歳もボクより若いんだから、ボクの方が秀でた部分があって当然だし、瞬発力や柔軟性などは彼らの方が優れているんだろうけど。
…とはいえ持久力がなくて粘り弱く、人の意見が入ってくるとその意見を取り入れようとして軸がブレることを多々経験すると、自分に向いてる仕事ってのが分かってくる。
どうやら、自分が発案と原案で、自分主体で現場や流れや方向性を決められて、しかも厭きる前に終わる短い仕事が向いてる様だ。
要するに我が侭なんだけど。
40歳にして、自分に何が向いてるか分かってるのも遅すぎるけど、回り道して体得したことは強い。
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なにしろ何をするにも人を説得しないと始まらないし動かない。
だからイメージを人に伝えて、それを面白がってもらうことが大事。
多少はハッタリかまさないと、プランニングなんてできなし、プレゼンなんてできっこない。
大体において、世界の全てはやってみないと分からないし、行ってみないと分からない。だから企画書まとまった段階で、それが本当に面白いのか、それが本当に売れるかなんて分かるわけがない。嘘八百でもいいから面白いんだと言い切るしかないのだ。
あとは情熱と誠意。
未来予知ができるわけでもないんだから、相手だってそれが本当に売れるかどうかなんか分かりっこない。だから最終的には「そんなに作りたいなら作ってみなよ」と思わせるだけの熱量だ。
ヘタすりゃ共倒れでも「こいつがこんなにやりたがってるんだから仕方ないかな」と思わせる、一般常識とは乖離した狂気。
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若い頃の特権は時間があるということだ。
だから幾らでもイメージを膨らませたり、考えていることができる。
しかしこれが仇となる。
いつまでも「こうした方がいいかも」とか「ここがマズいかも」と考え続ける無限ループに陥るわけだ。
その点、40歳にもなると、残りの時間も限られているので、そんなにグズグズと考えてもいられない。
だいたいグズグズと考えているほど集中力が続かない。
だからテンポよく、フレッシュなうちに、サクサク&ガンガン進めるに限る。
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時間が有り余る若い頃に、どうして無限ループに陥らなかったかと言えば、老いて集中力がなくなる今にも増して、若い頃はテンポ早くて飽きっぽかったということだと思う。
何しろ継続するのが苦手で、継続は力なりみたいなのが大嫌い。
1つのことをやり続けてそのエキスパートになんかなりたくない。
色んな場所で、色んな人と、色んなことがしたいんである。
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そんな性格が奏功した場合もあれば、失敗することもある。
しかしそれでいいんである。
成功だけでも厭きるし、失敗だけでは続かない。
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何にか作り出すことで人に楽しんで欲しいというのがサービス業だと思う。
クリエーターだとかアーティストだなんて偉そうに言ってる前に、サービス業に従事しているという自覚が大事だ。
しかし客は選ぶ。
サービスしたい人と、そのサービスを理解してくれる人には徹底的にサービスするが、そうじゃない人は知らん。ボクのサービスは必要ないんでしょうから他を当たって頂きたい。
かなりニッチな客層相手でも、仕事は成立するのだ。
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デザインフェスタにいる連中は、何か作っている連中だ。
そう思うと同業他社のライバルなんだから、早い段階で若い芽を摘まないとヤバい。
しかし積まれて終わる程度の芽だったら、摘まなくても勝手に立ち枯れるだろう。
要するに摘んでも摘んでも伸びる若い芽が驚異なのだ。
そんな芽は積みきれん。
しかしそんなの滅多に会えないからまだ大丈夫。ロック解除したオジサンの底力はこれからなのだ。
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<業務連絡>
摘んでも伸びる若い芽へ
仕事ください。