スクウェア時代とスキップ時代で7〜8年は恵比寿勤め。
それ以外でも食事や呑みは恵比寿というパターンが多いので、ひょっとすると一番食事した回数が多い街は恵比寿かも知れない。
お気に入りのお店は数あれど、馴染といえば「めし処 こづち」である。
恵比寿駅にちなんで、七福神が持っている打ち出の小づちからの命名だと聞いたことがあるが真相は不明。単なる都市伝説の可能性も多分にある。
この20年くらい、ほぼずっと同じスタッフでほぼ同じメニュー。
値段は20年で全体的に100円くらい上がっていると思うが、味や量や雰囲気は変わらず。
これぞ正しく昭和の定食屋さん。
昼からビールやコップ酒。
競馬新聞に煙草。
いまはどうだか知らないが、昔は「灰皿ちょうだい」というと「灰皿ないから床に捨てといて」と言われた。
事実、床は吸い殻だらけで、営業終了時に片づける方が、都度灰皿提供するより掃除が楽なんだとセンターのおっさん(泉谷しげるさん似)がいっていた。
ロンドンかどこかで、同じく灰皿なしの床に吸い殻捨てるシステムのパブに行ったことがある。その店は床全面に煙草の火の燃えた跡があって、それがまた名物だった。
おっさんメインの枯れた店かと思いきや、IT業界風の細身のスーツの若者や、ミュージシャンや芝居やってる風の若者や、アパレル関係っぽい若い女性など、客層は多種多様の恵比寿の人気店。
時が止まったまま、永遠にこの雰囲気で営業が続くと思われたこづちだが、数年前に営業時間が変わって閉店の噂が流れた。
この数年は、年に数回食べる程度の利用だったので
「明日から昼にどこで食べればいいんだ?」
という強烈で猛烈な残念感はなかったけれど、それでも昭和の名残が消えてしまうのは寂しい気がした。
しかしそのこづちが復活している。
夜営業をやめて、限定20食のハンバーグというハイカラなメニューが登場し、いちいち伝票を書く様になり、キャッシャーの場所で会計する様になり、スタッフは全入れ替え。
化調たっぷりの炒飯や、家庭の味以下なのに旨く感じる不思議なカレーライスなどは健在。
数年前の閉店騒動はいったいなんだったの?
なんでスタッフ入れ替えしたの? 前のおじちゃんやおばちゃんは元気なのかな?
腑に落ちない点は多々あれど、昼は数人の並びがあるくらいに繁盛していたのでよかった。
ほんと応援しているので、なるべくこのままの感じで長く営業続けてください。
食後…。
打ち合わせまで15分くらい時間があったので恵比寿東公園(通称:たこ公園)で時間を潰す。
すると、この数年区画整理でフェンスで囲われていたたこ公園も一変していた。
たこの場所が移動して、たこが小さくなって、芝になって、禁煙になって、砂場が柵で囲われて、池ができていた。
呑んだ後によく来たデートスポット(?)から、昔の面影が消えていた…。
昔の方がいいという懐古趣味はないけれどなにこの感じ。
前は「恵比寿なのに、なにこの寂れっぷり?」という趣があったのに、地方都市の新興住宅地みたいになっちゃった。
諸行無常ですね。