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 京都から東京に戻る際の関所といえば第一旭。
 ここを通らねば帰ることはできない…。

 ホテルをチェックアウト後に向かうとカウンター席が1席空いているのに、60代くらいの白髪のおじさんが店内で立って待っている。
「ん? どうして座らないんだろ?」
 と思う間もなく、店員さんがぼくに気付いて空いてる1席をすすめてくれた。
 順番飛ばしなので、先客のおじさんに
「お先にすいません」
 と挨拶したら
「お兄ちゃん先にどーぞ。ぼくはこの席がいいんや」
 といって、給水器前のカウンター席を指さした。
 好きな席が空くまで待つこだわり。ただ者ではない予感。

 空いていた席に座っていつものメンマネギを注文。

 すると数分でカウンター2席(おじさんの指定席含む)が空いて、おじさん着席。
 この時点でカウンター3席の左端がおじさん。中央が空席。右端がぼく。

 おじさんに挨拶する厨房のおじさん。
 くいっと仕草を見せたら、おじさんの前にコップが置かれて、ナミナミと日本酒が注がれる。
 かなりの常連らしい。
 午前中に呑む仕草したらビールだと思うけど、日本酒のコップ酒ってのが、やはりただ者ではない。

 しばらくしておじさんのラーメンができ上がる。
 ホールをやってたお兄ちゃんが配膳しようとすると、厨房のおじさんたちが「余計なことするな」という感じで制止。
 すると、わざわざ上から降りてきたお姉ちゃん(この店の看板娘だけど、きっとぼくより年上)が、コップ酒のおじちゃんに配膳。
 おじさんのラーメンは、お姉ちゃんが出すというのがしきたりになっているっぽい。
「○○ちゃん(看板娘。ぼくより年上)、いつもおおきに…」
 と礼をいってから、ラーメンを食べるおじさん。

 仕草だけで午前中からコップ酒というだけでなく、第一旭で係の者がついてるなんて、やはりこのおじさんはただ者ではなかった。

 

 ご馳走さまでした。

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