1日遅れのランチミーティング。
ぼくはいつものAランチ。
連れはK膳をオーダー。
先に提供されたAランチを食べていると、少し遅れてK膳がくる。
…が。
オーダー違いで別の日替わり膳がきた。
ぼくもオーダーを聞いていたのでいい間違ったわけではない。
「あれ? 頼んだのK膳ですよ」
ということで、ホールの係の人も間違ったことに気付いてK膳を下げる。
これは間違いパターンA。
醤油ラーメンを頼んだのに、味噌ラーメンが出てきたパターン。
いわゆるオーダーミスで間違った品を作ったパターン。
間違いパターンにはBもあって、それは例えば、醤油ラーメンを頼んだAさんに味噌ラーメンが提供されるが、実は味噌ラーメンを頼んだのは別卓のBさんだったというパターン。
作った品は間違っていないが提供先を間違ったパターン。
作ってくれた人に申し訳ないというよりも、人間が生きるために命を提供してくれた生物たちに申し訳ないないと思うので、オーダーと違う品が提供された場合は、ぼくは、極力、間違いを受け入れてそのまま食べる。
…しかし間違いパターンBのケースもあるので
「頼んだのは醤油ラーメンですけど、別の人のオーダーがぼくのところに来ているのでなければ、味噌ラーメンも食べたいのでこれでOKです」
という風に確認することにしている。
いつだったかラーメン屋で、醤油ラーメンを頼んだ人に、味噌ラーメンが提供された場面に出くわした。
捨ててしまうのはもったいないし、命を提供してくれた生物たちに申し訳ないので
「ぼくだったら味噌ラーメンを食べるね」
という話しをしていたら、その人はどうしても味噌ラーメンだと言い張って、醤油ラーメンを作り直すことを要求した。
そして味噌ラーメンはその場で捨てられた。
これはこれで正解だと思う。
しかしなんとなく、その場にいたみんなが不愉快な状況。
バリカタ頼んだのにヤワが来た気分。
なにしろ捨ててしまうのは命を提供してくれている生物に申し訳ない。
「あーあ。不愉快な状況だね…。味噌と醤油くらいどっちでもいいのにね」
ということをヒカルと話していたら、意外なことに
「どっちでもよくないケースかもよ?」
と言い出した。
どういうことかと言えば、もしかしたらその人は味噌ラーメンに思い出があって、遠くから、わざわざ味噌ラーメンを食べに来たのかも知れない。
もしかしたらその人は、引越すとか、大手術するとかで、大好きなそのお店の味噌ラーメンを食べるラストチャンスなのかも知れない。
もしかしたらその人は、ダイエットしていたとか、医者にとめられていたとか、刑務所に入っていたとかで、禁が解けての待望の味噌ラーメンかも知れない。
もしかしたらその人は、亡くなった奥さんの命日には、奥さんが大好きだったら味噌ラーメンを食べることを続けていたのかも知れない…。
なるほど一杯の味噌ラーメンにも、人それぞれの事情や思い入れや理由があるのだろう。
それに気付いてからは、ぼく個人は間違いでも食べるスタンスだけれど、人のことはどっちでもいいというスタンスになった。
今日の話しに戻す。
一度下げられた日替わり膳が再び戻ってきて
「K膳のおかずのお魚はこれから焼きますので、申し訳ないですが、それまで、先にこちらを召し上がっていてください」
となった。
間違いパターンBではなくてAだったのだ。
「そんなに食べられないのでこれでいいですよ」
「いやしかしこちらのミスですから…」
とお店。
最終的には日替わり膳を食べるということで、何も捨てられることもなく円満解決。
しかもK膳より日替わり膳がお値段高いのでお得だったというおまけつき(^^;
きっと誰かが見てるし、世界は公平にバランスされているのだと思う。
オーダー間違いではないけれど、外食時にかなりのレアケースに遭遇した友人の話しがある。
赤ちゃん連れで奥さんとラーメンを食べに行った時のこと。
どちらかが赤ちゃんの面倒を見ていないとダメなので、そういうときは時間差(片方が先に食べる)で対応するそうだ。
赤ちゃんを抱えている友人。
急いで先に食べる奥さん。
やがて奥さんが食べ終わったので、赤ちゃんを奥さんに抱いてもらって一気に巻き返そうと思ったら!
「麺が伸びてしまったので作り直しますね」
と、お店の人が友人の丼を下げてしまったのだ。
「いえいえ。そんなつもりなくて、今から食べるので問題ないですよ」
と食い下がるも
「スープも冷めてしまってますから」
と引かないお店。
麺が伸びて冷めたラーメンをお客さんに食べさせるわけにはいかないという、お店側の(お客さんに対する)サービスの様にも感じるし、うちのラーメンは麺は固めでスープは熱々が売りなんだぞというお店側のプライドにも感じる。
「作り直して欲しいなんて全く思ってなかったので、参っちゃったよねー」
とのこと。
ちょっと外食するだけでも正解が見えないパターンが多い。
ほんとに人それぞれなんだと思います。