何年か前のこと。富士山へのドライブがてら、吉田のうどんを食べたことがある。
吉田うどんはキャベツと馬肉がデフォルトという変わりダネ。しかも麺がやや黄色く極太で、この世のものとは思えないほど(実際に顎が疲れる)に固い。
さぬきうどんは噛まずに喉越しを楽しむのが通というが、このうどんはかなり噛まなければ飲み込めない。なので喉越しというよりはガシガシとした噛みごたえを味わうのがいい。
当地のお店は看板すら出ていない普通の一軒家が多い。ぼくが行った店などは完全に人の家。人の家の庭に車を停めて「ごめんくださーい」という感じで、遊びに来た客みたいな感じで玄関から上がり込む。すると「奥でお待ち下さい」という声だけ聞こえたので奥に行くと、普通に仏壇と炬燵があって、その炬燵にあたってテレビを観ている人がいた。間違って家の人がくつろいでる空間に迷い込んだと思ったら、なんとその人もお客さんだった。完全にその空間にとけ込んだ地元の人なので、家の人だと思ったのだ。
メニューもなければ箸や調味料などの飲食店らしいものが何も存在せず、落ち着かないまましばらく炬燵でテレビを観ていたら、奥からおばあちゃんが注文を取りに来て、仏壇の前でできたてのうどんを食べた覚えがある。異世界へのトリップ感がかなり高く、テーマパークのアトラクションみたいだと思った。1杯250円〜400円程度という値段も素晴らしい。
…で、昼食にその吉田のうどん。
説明書きよりも長めに茹でたが、それでも固くて驚いた。
洗練されたさぬきうどんとは違って、ぼそぼそガシガシの素朴な郷土料理。
昨夜に買っておいた駿河湾の桜えびのかき揚げをのせて、大量のネギをかけて、すだちを搾ってぶっかけスタイルで頂いた。
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