散歩に行きたいと急に鳴き出したのが朝の6時。
散歩に行きたいときに行けるという癖をつけると自分が主体だと勘違いしてわがままになるから躾的にNGなんですが、すでに躾も終えた13歳の老犬が朝方に泣き出したらおしっこかうんちの合図。
それにしても眠い＆寒いから「ダメ！」とたしなめて再び眠りに落ちたら、ヒカルが散歩に連れ出してくれたっぽいのにすぐに戻ってきてバタバタしてる。
なにが起きたのかと思ったら階段の踊り場でおしっこを漏らしてしまったとのこと。タオは家に連れ戻されてヒカルが階段の掃除を始めた。ぼくが代わってタオを散歩に連れ出すと気持ち良さそう＆申し訳なさそうにおしっこをして、それが終わると家に帰りたいという。
家の中や階段でおしっこやうんちをしない犬なのでこれは躾の問題ではない。
老いの問題なのだ。
階段は共用部分なのでおしっこを拭き取って、それから水拭きして、さらに除菌＆消臭スプレーで掃除をしてくれるヒカル。
出勤前の朝7時半の出来事。
事務所を借りるためのお金を浮かせることを思うと、いまより5万くらい家賃を下げて、さらにデザイナーズみたいなかっちょいい物件で、さらには初期費用を抑えるために礼敷が少なくて、ついでにフリーレントでもついてて、駅まで徒歩10分くらいの物件を理想としていたが、どうやら現実は違う。
タオのことを優先させるなら、階段やエレベーターという共用部分を通らないと外に出られない物件はそろそろNGだ。
だって現実には老いが進み、共用部分でおしっこを漏らすことが増えてきている。
タオのことを優先させるなら、というか、タオのことを優先させないと他の住人に迷惑がかかる。
現実はこうだ。
なにしろ1Fの庭付き。庭さえあれば、急におしっこをしたくなったときなど、庭に出してやれば済む。庭がないにしろ、玄関を出たらすぐにタオがおしっこできる住環境が必要なのだ。
そうしないとケムの晩年みたいに、抱きかかえて階段を降りてる途中やエレベーターの中でおしっこを漏らしてしまって、全身おしっこまみれのまま階段やエレベーターの掃除をしなくてはならなくなり、掃除してる間に今度はうんちもらしたり、ぼくと同じく全身おしっこまみれになっているケムを風呂に入れて洗ってやらないとダメだったりという老犬介護の苦難の日々がやってくる。
ここで庭付き一戸建てでもポンと買える経済力があればいいが、残念ながらそんな経済力はない。
しかも個人事務所を設立してやっと3年なんていう若輩者はローンの審査だって通らないそうだから、当分は住宅ローンを組むことすらできないらしい。
そこそこ稼いでいるつもりだったが、意外なところで自分の経済的な不甲斐なさが露呈。
我が子が病気してるのに、経済的な理由で医者に連れて行くことができないダメなおとーさんみたいな気分がしなくもない。
そんな朝が過ぎ、昼前に再びタオの散歩をして、仕事の資料を作成し、不動産屋さんとメールや電話でやり取りをし、渋谷に向かってミーティングをし、目黒駅まで戻り、歩く気力もなくてバスで帰宅。
すると昼下がりの目黒発〜三軒茶屋行きのバスは運転手がぼくくらいの女性。他に乗客が10人程度で、その全てが女性。しかもほとんどがおばあちゃん。男はぼくひとり。しかも41歳のおっさんのぼくがどうやらいちばん若輩者という日常の中のエアポケットみたいな空間。
女性だけの国に向かうのか、おばあちゃんだけの世界に連れて行かれるみたいなトリッピーな気分を味わう。
帰宅後に喜ぶタオをあやして疲れさせて、静かに眠り始めたところで仕事再開。
投資家の方々へのリターン計画書が必要と言われているんですが、そんなの作ったことないからさっぱり分からん。
まだまだ若輩者なのかも知れない。