チャリで近所の蕎麦屋へ。昼のピークを過ぎた薄暗い店内は、空席がぽつりぽつり。
そのうちの1つに腰を降ろしてたぬきそばを注文。
iPhoneでメールをチェックしていると、他のもう1つの空席に23〜24くらいの若者男子が2名で入ってくる。
きっと近くの建設現場の作業員なのだろう。2人とも頭にタオルを巻き、泥だらけの作業ズボンを履いている。
腕まくりされた作業着から見える腕は筋骨隆々で、顔も腕も、むらなくキレイに日焼け。
ぼくに背を向けて腰掛けた1人。頭に巻いたタオルからはみ出す髪をみると、なんだかずいぶんとオシャレっぽい。
ぼくと向きあう席に腰掛けたもう1人は、ぼくに似ている気もするが、逆(?)にKAT-TUNの亀梨くんに似ている。
「おばちゃん。オレ、日替わりの大盛り」
「オレも大盛りで」
と、注文はシンプルで男っぽく、とても正しい。
IT業界だ、広告業界だ、ゲーム業界だという、なんだか青白い不健康さとは対極のまぶしさ。
ぼくが女子なら惚れる。
「炭水化物は太るからなー」とか、せこいこと気にしながらたぬき蕎麦を注文している亀梨くん(ぼくのことです)が、この20年間に失った全てを彼らは備えている。
…と。
無言で携帯をいじり出す2人。
すると亀梨くん(ぼくじゃない方)が、携帯をいじりながら説教を始める。
「足場に荷物のせたまんまで、落ちたらどうすんだよ、え? おめーは、よ。それで誰かが下を通って当たったらどうすんだよ?」
「はい」(この「はい」は「あい」と「はい」と「おい」の中間くらいの発音)
携帯をいじりならが説教を聞いてる相方。
「足場に荷物乗せるときはよ、ちゃんと結べって何回言ったと思ってんだよ、え?」
「はい」(この「はい」は、さっきの「はい」より「あい」に近い「はい」)
「俺だってちゃんと結んでるってのに、お前さっき結んでねーだろ?」
「はい」(以下省略)
「俺らも18,19のガキじゃねーんだからさ。言ったことくらいちゃんとやろうぜ、っての」
「はい」(以下省略)
この会話の間、2人とも携帯いじったままでお互いを見もしない不思議。
しかも注文した品が届いでからは、説教しながら、携帯いじりながら、食事してる…。
一緒に蕎麦を食べに来てるんだから、仲のいい2人じゃないのか?
なのに、なんでずっと携帯いじり続けて、しかも説教し続けなんだ?
この年齢でも上司(多分説教している方が1つか2つ上という程度の年齢差に見えた)に気を使って、一緒に蕎麦を食べに行かないとダメとかあんのか?
なんだかずいぶんと、みみっちくねーか?
説教すんなら、食事と携帯やめて、拳で語り合う2人じゃねーのか?
あんな小言みたいなこと(大事なことだけど)を言われ続けて、携帯いじり続けて食事していたら消化不良になんじゃねーのか?
この20年で、強靭な胃腸とか、筋骨隆々とか、浅黒く日焼けとか、食べても太らない体質を失ったわけですが、食事中くらい楽しくやろうよみたいな、生きる知恵は身につけた。おかげで今日の昼ごはんは、きっとぼくの方が美味しくいただけたはず。(当社比)
家に戻ってから、おっさん風情でベッドで寝ているモグに報告したら、眉1つ動かさないまま憮然と惰眠を貪り続けていた。
結論:モグがいちばん男らしい(玉なし&オチなし)
=====以下追記
twitterで意見を頂いた。
要点をまとめると
「 昼は打合せに取られ、どの現場でも昼時間は正味食べるだけ。その間に進捗を確認して、明日の人員配置を会社と打合せ。それには携帯のメールを利用する。
1日のうちで10時の10分と、12時の10分と15時の10分程度しか会社との打合せができないので、どうしても食べながらのメールチェックとなる。
落下災害は即人命に関わるので建設業界としてはこの職長が言ってるのは凄く大事なこと」
とのことでした。
ぼくは不快に思ったというよりも、ずいぶんと男らしい2人が、ずっとちまちまメールしてるからそのギャップが意外だったのですが、なるほどそういう事情があったわけですね。
ご指摘ありがとうございました。
それを聞いたら、俄然、彼らが男らしく思えてきた。
情報って大事だな。
結論:モグは男らしくない