何に腹が立つかと言えば、基本構造が前時代的なままの松葉杖。
不自由さを補うためのアイテムなのに、こんなに大きくてかさばるってのが許せん。
「逆に不自由なんじゃ!」
と言いたい。
◇
次に腹が立つのが家の段差。
仕事部屋とリビングの間の段差。
リビングとトイレの段差。
脱衣所と風呂場の段差…。
ボクは海よりも大きい心の持ち主なので玄関と風呂場の段差は許そうと思う。だってそうだろう? 玄関とリビングに段差がなかったら外から帰ったとき、砂とか靴についた木の葉(そんなのつくのか?)が家の中に入っちゃうじゃないか。風呂が溢れたり、シャワー浴びたときの飛沫が脱衣所に入るのだって困るだろ? だからそれを防ぐために段差があるんだよ。
とは言え
「砂や木の葉(そんなのつくのか?)やシャワーの飛沫がなんぼのもんじゃ! そんなのいいから段差をなくせ! バリアフリー以外は認めんぞコラ!!」
と、巻き舌で言いたい。
◇
次には冷蔵庫である。
大体において偉そうに観音開きってのが許せん。
前時代松葉杖で冷蔵庫前まで移動してみたものの、冷蔵庫を開くために手をフリーする必要があり、前時代松葉杖をダイニングテーブルに立て掛け、アクロバティックに巧い事椅子を利用したんです。
そしたら開けた扉に自分の身体が邪魔して1歩下がらないと観音に開けないってのはどーかしてんじゃないのか?
冷蔵庫開けるためだけに、前時代松葉杖をもう1回使って1歩下がることを要求されるってのはいったい何なんだ?
「こらボケ! 偉そうに観音開きしてる場合じゃないぞコラ! もっと謙虚に観音スライドせんか!」
とも言いたいんですが、氷を作るために製氷皿に水を入れて、それを冷凍庫に入れてという動作をアクロバティックにやってたら水をかなりこぼした。
氷を作る事すらできないってのは、冷蔵庫から人間失格と言われてる様で悔しい。
「どー考えても、お前の方が人間失格じゃ!」
と、冷蔵庫に(心の中で)言ってみた。
◇
最後に腹が立つのがパンツ。
朝起きて、すがすがしい1日を過ごすためにパンツくらい替えたい。
しかしである。片足を完全に浮かしたままパンツを穿き替えるのは想像を絶するほどに難易度が高いのだ。
前時代松葉杖でクローゼットに移動。クローゼットから穿き替え用のパンツを取り出して、それを口にくわえたまま前時代松葉杖でベッドに移動。前時代松葉杖をベッドサイドに置いて、風が吹いても痛い左足にパンツ布が振れないように慎重に&色っぽくフ○チンになる。
そして色っぽさ倍増させつつ、口にくわえた替えのパンツを穿くのだが、ここでふと我に返り
「どうしてこんなに穿き替えるだけで鬱陶しいんじゃパンツ! 紐パンだったら脱いだり穿いたりせず、片足は宙に浮かして、片足は床に着けたまま穿き替え可能なんじゃボケ! 10秒以内にクララ用の紐パン持ってこいコラ!」
と、心の中で叫ぶフル○ンのクララ(痛風のおっさん40歳・本厄)なのであった。