大雨警報発令。
こんなGWもいいもんだ…。
遠くまで行くのも面倒なので、近場で昼食と思って傘をさして徒歩で家を出る。
モグと散歩しているとき、地元の平和通り商店街の一番奥になんとも味わい深い風情の中華料理屋さんがあったのを思い出してそのお店を目指す。
味わい深いというか、枯れているというか、端的にいえば汚い。
店内に入ると地元のおじさん2名(70歳前後。AさんBさん)が呑んでいる。
サインや認定証(?)が張ってあって、このお店は「きたなシュラン」に選ばれたらしい。
どうりでいい枯れっぷりだ。詳しくはこちらを。
5人掛けのカウンターの入り口側にいるのがAさん。
同じくカウンターの奥にいるのがBさん。
AさんとBさんはどうやら幼なじみらしくて、すでに日本酒4合くらい呑んでいて楽しそう。糸井さんが出ている農業番組を観ながらお互いをけなし合っている仲の良さ。
お店中央の8人掛けの丸テーブルに陣取るのがCさん。
AさんBさんの会話には入らずに、寡黙に呑みながらテレビを観ている。
4人掛けのテーブルが3卓。
テレビ下のテーブル席に座ってビールと冷奴を注文。
冷奴にショウガが添えてあるが、チューブのものでなくてちゃんとすり下ろしている本格派。
全体的には古き良き昭和の地元の中華料理屋。
週末の夕飯を豪華に食べるのに家族で賑わっていた感じが残る。
…が。
とはいえ汚い。
テーブルもいい感じに油でべとべと。
農業番組でそら豆を取り上げている。
テレビ「そら豆というのは、豆の房が空を向いて伸びるということからこの名前になったそうです」
Aさん「へぇー。空を向くからそら豆なんだってよ」
Bさん「そんなこたぁ知ってるよ」
Aさん「ほんとかよ。それよりそら豆は偉いな」
Bさん「なんでだよ?」
Aさん「空を向いてるんだってよ。お前のおちんちんなんか、もう空向かねぇだろうよ」
Bさん「うるせぇなー。昼間っからよ」
下ネタっぷりもいい感じ。
次にお客さんが入ってくると、ぼくと同い年くらいのおっさん。(Dさん)
その次は90歳くらいのお婆ちゃん。(Eさん)
人が良さそうな感じがにじみ出ているお店の大将と女将さんも70さいくらいかな?
来月45歳になるというぼくが一番若造ってのがエアポケット感ありまくり。
冷奴を食べ終わる頃に、女将さんが「これどうぞ」といってタラの芽の天ぷらを出してくれた。
サクサクの衣に、軽く塩を振った上品な仕上がり。
ほどよい苦味が旨い。
Aさん「タラの芽かー。苦くて旨いねー」
Bさん「桜も終わったしなー。春の山菜も終わりですぐに夏だな」
Aさん「なんだいお前。桜だの春の山菜だの柄にもないこといってんじゃねーぞ」
Bさん「だって桜もあっというまに終わっただろ」
Aさん「桜ってのは、あれか? お前の新しいおネエちゃんか?」
Bさん「そんなんじゃないよ」
Aさん「で、その、お前のおネエちゃんは幾つなんだ?」
Bさん「俺のお姉ちゃんか?」
Aさん「そーだよ。お前のおネエちゃんだよ」
Bさん「今年で90歳だったかな?」
Aさん「なんだよお前。そりゃ、若くてキレイなおネエちゃんじゃなくて、ホントのお姉ちゃんだろ」
Bさん「そーだよ」
Aさん「90歳なのか?」
Bさん「そーだよ」
Aさん「そりゃお前、早く田舎にでも引っ込んで、農業やった方がいいぞ」
Bさん「今から農業かよ」
Aさん「そーだよ。土いじってるとボケないらしいぞ」
Bさん「農業ったって、なに作るんだよ?」
Aさん「さっき、そら豆の作り方覚えたじゃねーかよ」
Bさん「テレビ観ただけで作れんのかよ?」
Aさん「知るか、そんなの。やってみなきゃ分かんねぇぞ」
次に新しいお客さんが来店。
カウンターの両端に座っているAさんBさんの間に座るFさん。
Fさん「よー。久しぶり」
Aさん「久しぶりったって一昨日会ったじゃねーかよ」
Bさん「日本酒呑むか?」
Fさん「俺は仕事だ。あんたらみたいに昼から呑んでられねぇよ」
Aさん「なんだよお前。一昨日は昼から呑んでたじゃねーかよ」
Fさん「この雨でさ、○○さんちが雨漏りしちゃってこれから直しに行くのさ」
Aさん「○○さんち!? そこってお前が施工したとこじゃねーの?」
Bさん「○○さんちだったら、俺がやったとこだ。その前の○○さんちと○○さんちも俺がやった」
Fさん「ありゃー。ちゃんと仕事しないから雨漏りしてるってよ」
Bさん「工事したのなんて何十年も前だっての。そんだけ経てば雨漏りくらいするっての」
地元の幼なじみで、昼から日本酒ってのはいいもんだ。
特筆すべきところが皆無のラーメン。
乱暴な言い方をすれば、高速道路のサービスインターのレストランの立ち食いラーメン的なお味。
でもこの空間だったらそれでOK。
ご馳走さまでした。