林試の森公園目前の住宅街にひっそりと佇む隠れた有名店。
最寄り駅は武蔵小山駅か学芸大学駅ですが、駅からは徒歩20分くらいの陸の孤島にある。(うちからは徒歩3分くらい。下手するとうちから1番近いお寿司屋さんはここかも)
ネタケースの前に付け台がなく、板さんから直接に握りを手渡しされ、置く場所もないのでそのまま食べるスタイル。
大将から、魚の蘊蓄をたっぷり聞いてからでないと食べてはいけないルール。
食べる前に蘊蓄を聞かされるなんて辟易する人が多いと思いますが、情熱と知識に裏付けられた話しは、どれも参考になるし、蘊蓄プレゼンテーション後に食べた方が、こちらの感受性が上がっているので旨さが倍増する。
店の前に出された看板は常に準備中とのこと(^^;
握りの前のつまみはどれも絶品。
美味しいだけでなく、食べた事がないものばかり。
四万十の鮎をほうじ茶で煮込みまくって、そこに岩のりを載せたモノ。江戸時代の文献にある調理法とのことだった。
つまみの後に
「そろそろ握りましょうか?」
ということで握りへ。
いきなりコハダが3連続。
白いシャリと赤酢の赤シャリ。
寿司はシャリとネタのバランスだと、大将が何度も言っていた。
順不同に思い出すまま書くと、芝エビの卵焼きが旨くてヤバい。
…それでいて旨すぎない、過剰さがないのがステキ。
テクニックと情熱と素材の力で食べさせる極上の素朴さ。
元気がなくならない様にと、日高昆布で包んで運ばれてくるアワビ。アワビは輸送中に昆布を食べているそうだ。
行者ニンニク醤油と辛子で食べうるマグロとサバ。
安納芋の素揚げ。
チーズより濃厚な痛風5点セットに、珍味シリーズで酒盗あれこれ。
極め付けは青キス。
滅多に獲れないため市場に流通していない魚らしい。
年に数回しか獲れないので、普通は、漁師さんが食べてしまうものを、どうにか手に入れたといっていた。
あれこれ噂は聞いてましたが○○さんが馴染みの店だというので紹介して頂いた。
ここは1人でいきなりは入れないので本当によかった。
なんていうか、完全にエンタメとアートの領域に踏み込んでいるお店だった。
素材のチョイスや調理法など、何ひとつ普通のことがなくて、前人未到のレベルでオリジナリティーが炸裂している。
徹底的に基本をやった後に崩すのってカッコいいですね…。(基本を崩しているわけでもなくて、江戸時代にまで遡って基本にこだわりまくっているから崩している様に見えるだけかも)
「写真を撮るのはいいけどよ、ネットとかに上げないでくれよ」
とのことだったので、料理の写真は全てカット。
同じく、近所の住宅街に隠れ潜む焼き肉の名店「○○○○」のおばちゃんも
「写真撮るのはいいけど、ネットに上げないでよ。うちは地元のお客さんが食べに来てくれればいいので、宣伝されちゃってお客さんが増えちゃうと困るのよ。近所の人たちが食べられなくなっちゃうでしょ」
と言っていた。
キモチは同じなんだと思う。
食後に同行メンバーがタクシーで駅方面に移動するのを大将と女将さんと一緒に見送り、年内にもう1回伺う事を約束して徒歩で帰宅。
家から徒歩圏にあるワンダーランドにヤラれた夜となった。(日本酒でベロベロ)