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 モグの散歩後に、ヒカルと一緒に近所のうどん屋さんで昼食。
 関東の場合、そば屋さんで食べるうどんのツユは黒いが、関西出身のヒカルにしたらうどんのツユは透明とのこと。
 うどんが食べたいとなればうどん専門店になる。
 久しぶりにきたら満席でいつの間にか人気店。

 ヒカルは梅うどんで、ぼくは新たにメニューに加わっていた辛口カレーうどん。

 コシの強い讃岐うどんとは違った中太の麺。
 お出汁が美味しいじんわり旨い系。

 

 店内で流れるラジオで宮崎牛の話題。
 なんとなく聴いていたら、途中で宮崎の畜産家の方が電話で出演した。

「やっぱり、育てる牛に名前をつけたりするんですか?」
 と、妙な角度でパーソナリティーが質問。
 実直そうな畜産家の方が
「そうですね。名前を付けて、大事に、1頭1頭育ててます」
 との回答。

 ここで終わればいいのに
「名前までつけて大事に育ててると、出荷するときには特別な思いがありますよね?」
 と続けた。

 畜産家の方は
「そうですねー。やっぱり育ててた間のことが色々と思い出されますが、そこは仕事なので割り切って、みなさんに美味しく食べて欲しいと思って出荷しています」
 と返した。

 昼のカジュアルなラジオ番組にしては妙なトーン。

 するとパーソナリティーが続ける。

「そしたら、次に牛に名前をつけるときは○○という名前にしてくれませんか?」
「○○ですか?」
「そうです。○○というのが、うちのアシスタントの女性の名前でして」
「はい」
「そして、その○○が大きく育って、出荷されるときには連絡頂いていいですか?」
「連絡ですか?」
「アシスタントの○○と一緒に、その牛を食べに行きますよ」

 なんだか笑い話にもならないし、食肉に対する真摯なスタンスの話しにもならないヘンな展開だと思っていたら、アシスタントの女性の○○さんが
「あー。食べたい! 宮崎牛食べたいので、ぜひお願いしまーす!」
 というまとめて、パーソナリティーと一緒に
「わははははは」
 と笑っていた。

 

 なんだろうな、この感じ。

 畜産家の方にも失礼だし、そしてなにより、このアシスタントと同じ名前を付けられて、育てられて、殺されて、お肉として加工されて、このアシスタントに食べられて
「あー。おいしい! わはははは!」
 みたなことを言われたら、死んでも死にきれない気がした。
 この牛を産んだ親牛だって、そんなために子供産んだんでもないと思うし…。

 なにが正しいのか分からないし、悪いことしてるわけでもないので問題ないんですが、なんとも微妙な気分になる番組だった。
 牛を食べるなということではなく。