給油や貯金といった計画的なことが苦手だ。
最近でこそガス欠でエンストってことはなくなったが、若い頃はガス欠で途方に暮れたことが何度もある。
今でも覚えているが、友人を迎えに行く深夜に急に車が停止したことがあった。なにかと思ったらガス欠。深夜で周囲にスタンドはなく、当時は携帯もなく、さらには2,000円しかお金も持ってなかった。
どうにもならないのでタクシーを停めて
「ガス欠したのでスタンドまで乗せてください。しかし現金が2,000円しかなくて1,000円はガソリンを買いたいので、1,000円でガソリンスタンドにできる限り近いところまで乗せて欲しい」
と状況説明&お願いした。
しかし残念な事に1,000円分走ってもガソリンスタンドは見当たらず、手持ちの1,000円を払ってタクシーを降りた。そしてぼくは幹線道路を24時間営業のガソリンスタンドを求めて歩き続けた。
しばらくすると車のクラクションに呼び止められた。振り返ると先ほどのタクシー。
「お兄ちゃんよ、いまずっと走ったけどかなり先に24時間営業のスタンドがあったぞ」
「おっ! そうですか。情報ありがとうございます!!」
「ありがとうもいいけどよ、こんだけ空いてる道を車で走って10分くらいかかったから、そこまで歩くと1時間以上かかるぞ。それにガソリン買ってまた戻るんだろ? 往復で3時間くらいかかるぞ」
それを聞いた途端気持ちが挫けたが、どうにもならないので
「若いんで大丈夫っすよ!」
みたいに答えた。
そしたら
「仕方ねーな。乗りなよ。その代わり後ろの席で寝てろ。空車のまま走るから、無銭乗車で見つかると怒られちゃうからさ」
と運転手さんが言ってくれて、ぼくはタクシーの後部座席に寝転がり、空車のままガソリンスタンドまで送ってくれた。
親切な運転手さんにお礼を言って、残りの全財産で1,000円分のガソリンを購入。
それを持って車まで戻ろうと思ったら、あろうことかガソリンスタンドの先でさっきのタクシーが待っていてくれた。
そして再び後ろのシートで寝てろと言われて、空車のまま、ガス欠してる車まで乗せて行ってくれたんである。しかも途中で缶ジュースまで奢ってもらった。
あまりにも申し訳なかったので、住所と氏名を伝えてタクシー代はあとで郵送すると言ったら「メーター倒さずに空車で走ってんだから余計なことされても困るんだよ。そんなことはいいから、兄ちゃん頑張れよ!!」 と言い残して、そのタクシーは去って行った。
タクシー強盗みたいな事件が多い昨今。こんなことは稀になってるのかも知れない。
しかもいま同じ状況になっても、さすがに40歳越えたオッサンが「ガス欠なので24時間営業のガソリンスタンド方面に1,000円だけ走ってくれ」といったところで気味悪がられて乗車拒否されるのかも知れない。
見知らぬ人の優しさに触れた、いい思い出だ。
…で、今日もガス欠寸前。学習効果が低い事甚だしい。
メーターを見てはいるんだけど、ガソリンメーターって意識に入ってないんですよ、きっと。
残り走行距離が3キロになり、一気に表示が消えて焦った。
どうにか24時間営業のガソリンスタンドに辿り着いて給油。
そしたら満タンで65リットルのはずなのに66.23リットルも入った。どんだけスッカラカンだったんだろう。
一時は満タンで9,000円オーバーだったハイオクも今では7,683円まで値下がりしている。
値下がることはいいことですが、もっと高ければ車に乗る回数も減ることを考えると、エコ的にはガソリンは高い方がいい。
もっともエコ的には車になんか乗らない方がいい。
しかし不景気から抜けるには、みんなが車を買って、自動車産業が回復した方がいい…。
複雑過ぎて、なにが正解か分かりませんね。