そろそろ寝ようかと思ったらお座りの体勢からタオが立ち上がれなくなってブルブル震えている。
前にも1度同じことがあった。
そのときは介助して立たせたらそのままの体勢で前後左右に揺れること10分。全身をさすってみるが特にどこかが痛い様子はない。吐きもしないので気持ち悪い感じでもない。抱きかかえてベッドから降ろしてみるとそのままの体勢で揺れながら再び立ち続けている。少しムリに歩かせるとそのまま「ずでん!」とすっ転んだ。抱き起こして立たせたまま様子をみたら、また10分くらいして恐る恐る、一歩一歩ヨロヨロと歩き出した。
まるで産まれたばかりの仔馬や仔牛みたいなヨロヨロ歩きなんだが、タオは小犬ではなくて老犬なのだ。
そのときと全く同じ様子。
思うに寝ている間に足が痺れたかつったんだと思う。
それで起き上がれなかったものだから、自分の身体の異変に自分で驚いて、怖がって震えているらしい。軽いショック状態なんだろう。
立ち上がれない、歩けない、走れないとなれば獲物が捕れない。そればかりか肉食動物に食べられてしまうから、動物の場合は歩く&走るってのは死活問題だ。だから足がつったり、痺れたりすることは普通はないんだと思うし、足が痺れて動けなくなってる動物は食べられてしまうから存在しないのだろう。
しかしペットは違う。
野生では食べられてしまう様な状態でも生き残る。
そしてさらに老いる。
自然界では生き残れないほどに老いるわけだ。
獣医さんが言ってたが、犬も人間と同じ様に、視力が弱って、耳が遠くなって、歯が悪くなって、足腰が弱って、嗅覚だけが残るそうだ。
そして最後に食べ物の匂いすら感じなくなったら、そこからは1週間くらいで死んでしまうらしい。
タオも視力が弱った。緑内障か白内障なのだろう。黒目が白く濁ってきた。
耳も遠くなったので帰宅しても気づかないで寝ているときがある。
歯も悪くなった。
足腰も弱って階段などで転ぶことが増えた。
心臓も弱ってるからほとんどダッシュもしなくなった。
しかし嗅覚は全く衰えることがなく肉などを焼くとすぐにとんでくる。
立ち上がれずに震えるタオを介添えして立たせてさすっていると、前と同じ様によちよち歩き始めた。
お肉の欠片を煮て上げるとがっついて食べた。
外に出たいというのでよちよち歩きの早朝散歩に付き合ってやった。
再び横になると立ち上がれなくなる恐怖があるのだろう。
今度は立ったままで横になろうとしない。
20歳まで生きたケムの晩年にタオがますます似てきた。
タオは23日で13歳だが、ケムよりも身体が大きいので老いるのも早い。
しかも人間と同じで犬もメスの方が長生きらしい。病気しても持ち直す生命力がメスにはあるが、オスは病気するとそのまま弱ってしまうケースが多いと聞いた。なのでタオはケムみたいに20年も生きる確率は低いのだろう。
最後は寝たきりになったケムの介護で得た経験があるからタオの老いにも冷静に対処できる。
なんだって実体験は強い。
そろそろ寝たいんだが、横になろうとしないタオが横にへばりついている朝の4時半。