世界経済フォーラム年次総会「ダボス会議」で、俳優の渡辺謙さんがスピーチをした。
Facebookでその事を知り東京新聞TOKYO Webに掲載されたスピーチ全文(必読)を読んでみたら、一点の曇りもなく素晴らしい。(リンクは東京新聞TOKYO Webのサイトポリシーに準じています)
スピーチでは「絆」と「足るを知る」ということが語られている。
他のマスメディアでは「絆」の部分だけが取り上げられて「足るを知る」という部分が欠落している報道が多かった。
ニュース番組の時間の制約や紙面の都合もあるだろうが、随分とバイアスがかかった報道だと思った。
「なんだかなぁ〜。大事なことが削がれちゃってるじゃん」という残念な感じ。
大きな組織や古い会社になればしがらみも増えるのは当然だ。
どんどん体制にのみ込まれていくのも理解できる。
スポンサーのことを悪く言えない事情があるのも分かる。守旧派や既得権益を享受している人たちとの軋轢だって相当なものだろう。
しかし報道というのは、そういうしがらみから解き放たれてなければならない。
政府に言論統制される前に、メディアが自主規制してるというのは尻込みし過ぎだと思う。
テレビや新聞からは本当に必要な情報を得られない気がしていたので、この数年はニュースといえばネットか友人&知人からの情報というライフスタイルだった。
しかし応援する気持ちを込めて久しぶりに新聞購読することにした。
前々から東京新聞の報道は曇りなく凛々しいと感じていたけれど、スピーチ全文掲載で気分が変わったのだ。
…とはいえ朝夕刊を読み終えればゴミになる。ゴミ収集してもらうのにも配達にもガソリンを消費するし、Co2排出という環境負荷もある。
そこでwebの「ご質問・お問い合わせ」に「有料web版があればそれに申し込みたい」という要望を出した。
有料web版ができるかどうか分からないが、それまでは久しぶりの紙の新聞を読むことにする。
これはぼくの所信表明だ。
新聞購読するだけで所信表明なんて大袈裟だと思うかも知れないが、例えば何かを表明するということは、他の何かを失うということになる場合が多い。
少なくとも他の新聞社からの取材などは減る。(減らないまでも増えることはない)
「android最高!!」
といってればAppleやiOS陣営からの仕事は減るでしょうし
「ホンダ大好き!!」
といっていば日産やトヨタの仕事は減る。
「PSP VITA素晴らしい!!」
といってれば任天堂やMSの仕事が減る可能性が高い。
要するに主義主張をパブリックに発言するということは機会損失を招く場合があるということ。
それくらい分かっていても言わずにおれないこともある。
ぼくですら少なからず影響があるかも知れないので、渡辺謙さんだったらあのスピーチの(本人への評価や仕事への)影響は相当なものだと思う。
しかし凛として発言している姿勢がステキだし、そこを汲み取らずに削除している報道が残念。
ぼくの周囲のみんなや、先輩や、著名な方々が、声に出したり行動を起こしている。
「足るを知る」というのはオルタナティブだ。
オルタナティブな男(自称)としては後に続かないわけにはいかない。