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 少々、乱暴で適当なことを書く。

 

 健太が生まれたとき、どんな風に育って欲しいか考えた。

 ベーシックには「健康で健やかに育って欲しい」と思ったので健太と名付けたわけですが、欲を言えば
  ・勉強ができる
  ・運動ができる
  ・芸術を愛する
  ・平和を愛する
  ・自然を愛する
  ・動物と仲良く
  ・カッコよく
  ・お金持ち
  ・話しが面白い
  ・生き方が面白い
  ・気概に富む
  ・オルタナティブであれ
  ・品格を保つ
 など色々とあって、それを引っくるめて「モテる人になれ」と思った。
 少々、勉強ができなくて、運動ができなくて、ハナタレで、我侭でも、モテていればどうにかなるだろう、と。

 

 この「モテる」というのが深くて「誰に、どんな風にモテるのか?」ということを具体的に考えたところ「女性にモテる」というだけでなく、同性にも、異性にも、同年代にも、年上にも、年下にも、違う肌の色や国籍や宗教観の人にもモテるのが大事だな、と。
 逆を言えば、モテるための条件として「勉強ができる」や「運動ができる」などがあるわけで、最終的にモテてれば「勉強」や「運動」はどうでもいいかな、と。
 モテてれば、生きて行けるだろう、と。

 

 …で、どんどん知恵がついてきて、電車を見たら奇声を発して、好きな曲が流れれば独創的な(ヘンな)ダンスして、ハナクソほじってる健太を見ていると
「こりゃ、モテないな」
 という気がしてきた。
 少なくとも、女性にモテる要素が見当たらない。
 
 ヒカルが
「男の子って、こんなバカなの?」
 と不思議がっているが、なにしろ、起きてから寝るまでどうでもいいことを全力でやってるだけ。

 

 全ては体験と経験と訓練だから、女性に関して言えば、お姉ちゃんや妹がいて「女性ってのはこういうもんだ」というのが、幼少より分かっている方がモテる確度が上がる気がした。
 一人っ子や男兄弟だと、男同士の遊びや男の考え方のバイアスかかって育つから、女性が理解しにくい男に育つ可能性が高い。
 海外で暮らしていれば、その国の文化や、その国で暮らす人々の考え方や習慣が身に付くのと同じで、異性の兄弟がいれば、異性の考え方や、異性が喜ぶポイントや、異性が嫌がるポイントを自然に学習できるわけだ。
 理解力が上がれば、可能性も上がる。 

 

「一人っ子や男兄弟より、お姉ちゃんや妹がいた方が女性にモテるのかもね」
 と、何気なくヒカルに言ったら
「えっ? なんでそんなこと言ってるの? そんなの当然でしょ」
 と言われた。

「えっ? 当然なの?」
 と聞き返したら、ヒカルの女友達でも、男にモテる娘は、たいてい男兄弟がいるそうだ。
 もっと言うと、玉の輿に乗るのは弟がいるパターンとのこと…。

 

「それ、ほんとかよ?」
 と再確認したら
「そんなことだからモテないのよ」
 と言われた。 

 

 女姉妹のヒカルが言ってることを、男兄弟のぼくが納得できずに聞いてるのを見て、健太はハナをほじって笑っていた。

 
 ダメだこりゃ。(いかりや長介さん風に)