確実に時代のモードが切り替わった。

 所謂不景気ということかも知れないが、全人類が家を持って、車に乗って、寒さ熱さをエアコンで調節して、子供を育てて、プラズマテレビを見て、携帯電話で話して、幾つもあるゲームハードで遊んで、美味しいものを食べて、ダイエットして、適当な医療を受けて、シーズン毎に洋服を買って、年に数回は海外や国内旅行ってのにはムリがある。
 お金がないからムリなんじゃなくて、地球のエネルギーや資源や土地が足りないわけだ。

 だから本質的には不景気による節約モードみたいな時代の空気を歓迎する。だって悲鳴を上げてる地球への負荷が減るわけであり、富める国と貧しい国とのエネルギー消費バランスが少しだけ元に戻る気がするから。

 しかし月に1本ゲームソフトを買っていた家庭が不景気ってことで2ヶ月に1本しかゲームソフトを買わなくなると、単純な話しぼくの収入は半分になる。そんな単純なことではないが単純にして話しを進めると、収入が半分になったぼくは週2回吞みに行ってたのに週1回に減らす。すると飲食店の収入も半分になるし、飲食店からの帰宅するときのタクシー利用も半分になる。他に月に2本映画を観ていたのが1本になる。そうすれば映画業界や映画館の売り上げも半分になる。映画に行けばお茶くらい飲んでいたのが、それも半分になる。するとスタバの売り上げも半分になる。
 そうして飲食店関係者や、タクシー運転手や、映画業界関係者や、スタバ関係者がさらにゲームを買ってくれなくなり、1ヶ月に1本だったのが、2ヶ月に1本になり、次には4ヶ月に1本しか買ってくれなくなるわけだ。
 そうするとぼくの収入は1/4になり、吞みや映画やお茶の回数がさらに減り…。(以後繰り返し)

 不景気ってのはそうやって消費が落ち込む事であり、消費が落ち込んだらモノやサービスが売れなくなるので余剰生産しても在庫を抱えるだけなので、その流れから生産が落ち込む(生産を減らす)。
 そこでまた人員削除みたいなことが起こり、その「ヤバいんじゃないか!?」って雰囲気が生活防衛みたいなことになって、さらに消費を落ち込ませる。

 経済に詳しくないことを前提にいい加減なことを書きますが、各国のゼロ金利政策ってのはバブルを生み出す起爆剤になるそうだ。なので「カチッ!」と音がして時代のモードが切り替われば、金利が安いんだから銀行借り入れして事業を興せだ、家を建てろだ、車を買えだののバブルが再来するらしい。
 しかし「そんな場合じゃないだろう」っていう時代の気分があるうちはバブルは再来しない。その当たりの景気という気分的なものの本質が曖昧で面白い。

 どっちにしろあと数年は冷え込んでるくらいでいいんじゃないか。ちょっと浮かれ過ぎて消費熱にうなされていた気がする。清貧を説くつもりはさらさらないが、バブルの狂った感じはあまりよろしくない。(享楽的だけど)

 普通に東京で生活してる人でも、江戸時代かどこかの時代の殿様以上にエネルギーや資源を消費しているそうだ。確かにそんな気がする。クール宅急便で全国の名産を好きにお取り寄せせきるんだもん、なるほど殿様よりも贅沢だ。それを考えると東京で生活してる人はみんな殿様以上。しかしそんなことは持続しないんです、きっと。

 このままいけば地域通貨が流行り出すんじゃなかろうか?

 不景気だって嘆いてないで、アイデア次第で、お金を使わなくても楽しく美味しく暮らす方法があることに気づいた方が楽しい。そういう方法をを探すのも今までと違って楽しいし…。

 どうしてこんなことを書いたかと言えば10年以上も前からの女友達からメール。当時は毎週末に朝まで遊びまくってお互いにふわふわしてたもんですが、その娘が独立した。

 メールはこう結ばれていた。

「しっかり地に足をつけて生きていこうね。」

 あの彼女がこんなことを言い出すんだもの、時代のモードが完全に切り替わっている。

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