前にも書いたが近所にラーメンゼロという店がある。
なにがゼロかと言えば塩や醤油や味噌などの調味料がゼロ。複数の天然素材から出る出汁の旨味と塩分だけで食べさせる店だ。
最初は味がしないと思っても、何回か食べているうちに素材の旨味がじんわりくるという趣旨の説明書きが店内にあるが、最初に食べたとき「あじ薄っ!」って思った。麺もスープも具材も凄く美味しいので「これで普通に醤油や塩味だったらもっと旨いのに」というのが正直な気持ちだった。
しばらくしたらプラスワンという無料のオプションが追加された。醤油の煮こごりである。どうしても味が薄いと感じる人は、途中からプラスワンを追加して食べてくれというわけだ。濃い味が好きなぼくなんかは、プラスワンダブルで頂きたいくらいだった。
またしばらくして再訪したら今度は卓上に岩塩のミルが置かれていた。プラスワンを追加すれば醤油ラーメンだし、岩塩を削って振りかければ塩ラーメンというわけだ。このあたりからゼロという意味がふわっと宙に浮いてしまったが、それでも調味料なしで食べさせようと企てたくらい出汁の複雑な旨味と、小麦が香る麺が凄い。なんだかんだ言っても旨いんである。
だがしかし、途中でプラスワンと岩塩を置いてしまった方向転換は残念。薄いと思ってもそれは濃い味に慣れ過ぎているこっち側の問題で「出汁の旨味が分からないバカ舌になってるんだからお前が悪いんじゃ!」という客に喧嘩売ってるスタンスは好きだった。最大公約数を取ろうとするとどうしたってチェーン店的な過不足ない(没個性な)味になるから、それくらいオルタナティブなことをやるのは大事なことだ。
とはいえお店も商売である。スタンスが偉かろうが、試みが斬新だろうが、客が入らなければ従業員の食い扶持がなくなる。それを考えると普通に美味しい醤油や塩のラーメンを出せばいいんですが、それでは他店と差別化できなくなるから埋もれる。
そう考えると、なにが正解かは分からん。
こういう斬新さを受け止める度量がない客(ぼくのことです)が悪い気もするが、それでも通ってるんだからこれまた意味が分からん。
…と、ここまでが前振り(長過ぎ)ですが、コカコーラゼロを初めて飲んだ。
精白したものは身体に悪いというマクロ思想にのっとれば、砂糖入りのコーラなんてのは悪魔の飲みもなんである。しかし身体に悪いものは旨いんですね。このコカコーラゼロは、人工甘味料の甘さが余計に身体に悪い感じがする。身体に悪いコカコーラが、身体に悪くない風を装って、異形の徒と化してるというか。
身体に悪い感じが旨いんだから、コーラなんかは糖類やカロリーがあっていいんです。それを無理矢理ゼロにしてるから、余計に身体に悪い感じがする。身体に良さそうなコカコーラゼロを毎日飲むなら、身体に悪そうな本家のコカコーラを週1飲んだ方がよっぽど潔い。
人工甘味料の甘さには蟻が寄って来ない。
「蟻も寄って来ないモノを、カロリーがないからと喜んで飲んでる人間はアホだ」と友人が言ってたがほんとその通り。
ニコチンが少ないライトの煙草吸ってる(これもぼくのことです)くらいなら吸わなきゃいいのにってのと同じ問題かも知れない。