寒かったので徹底的に熱いスープのラーメンが食べたくなり、久しぶりに永福町の大勝軒へ。
スープの表面を薄いラードの膜が覆っているので、食べ終わるまでヤケドするくらいにスープが熱いままなのが嬉しい。
今となっては昔懐かしい系のしんみり旨いラーメンなんですが、この店には伝説(?)が多い。
店内外に貼られた従業員募集のパネルには月給手取り60万で業界最高額とある。(前は45万だったけど値上がりしたのかな?)
早い時期に製氷機を導入したので、子供が熱を出したときは近隣住民が氷をもらいに店に行ったらしい。その名残がいまでもあって、氷が必要なときはいつでも用意してくれる。
2人前の麺が入って1人前。スープも大量なので洗面器サイズのどんぶり。
食べ物の近くにトイレがあるのはお客様に失礼という考え方なので、店にトイレがない。トイレに行きたい人は近隣のコンビニで借りてくれと案内がある。
従業員に身長制限あり。確か170センチ以上の人は雇ってもらえない。大きい人はお客を見下ろすことになって失礼という理由。
ひと口水を飲むとすぐに注ぎに来る。
あまりに量が多いので残す人が多い。
だったら値段(ノーマルの最低価格のラーメンで1050円)を下げて量を減らせばいいと思うんですが、ラーメンはおやつではない。1食でちゃんとお腹いっぱいになって欲しいという方針なのでこの量でこの価格を貫いている。
しかし暖簾分けした他の大勝軒だと、麺少なめにすると、たまごやワンタンをつけてくれるパターンが多い。
…が。
隣のおばさんが「麺を少なめで」とオーダーしたら「スープと麺のバランスが崩れるから、うちでは麺少なめにすることはできないんですよ」と、給仕のおばさんが申し訳なさそうに詫びていた。
少なくすることができないということは、食べ切れない人は残してくれということなので、そのスタンスに驚き。
しみじみ旨い系の地元の老舗なので、お客にお年寄りも多いのだから、少なめのオーダーも受け付ければいいのに。
ぼくが食べても麺を食べ切ると満腹で、スープなど半分も飲めないので「もったいないなー」と思っていたんです。
…と。
家族連れがじょうごで残ったスープをボトルに入れ始めた。
「なんちゅーことすんねん!!」
と愕然としていたら、どうやら、残ったスープを持ち帰ってOKというシステムになったらしい。
ぼくの知る限りでは、残ったスープを持ち帰る為にじょうごを貸してくれてるラーメン屋は他にない。
しかも容器を忘れた人は、容器を売ってもくれる。
ここのスープは本当に美味しくて、ラーメンを食べ終わったら、ご飯を入れておじやにしてくれと(お土産ラーメンの説明書に)書いてある。
だから持ち帰っても使い道があるんですが、それにしても、周囲にお客さんがいる目の前で、じょうごで残ったスープをボトリングするってのは斬新だ。
あまりに斬新なので、見たときはギョッとしましたが、考えてみればラーメンなんてのは原材料のほとんどがスープなので、それを飲み切らずに、当然のこととして捨てるのは悪だ。
クラムチャウダーの具だけ食べて、スープ捨ててるのと同じですもんね。
残ったスープお持ち帰りシステムはとてもエコで素晴らしい。
でも、だったら、量を少なくして、価格を少し下げた方がいいんじゃないかと思ってみたり。