ヤバい。
ヒリヒリするくらいの、すんげー映画だった。
なにが凄いって、演出も、脚本も、カメラも、照明も、衣装も、音楽も、役者も全部凄い。
ついでにタイトルロゴのデカさも凄い。
以下ネタバレ。(まだ観てない人は注意)
怪優ジャック・ニコルソンのジョーカーもインパクトあったけど、ヒース・レジャーのジョーカーが斜め上方向にブーストかけまくって「これがジョーカーの最高傑作!」と思ってたけど、ヒース・レジャーのジョーカー方向(ヒリヒリするくらいの繊細さと狂気とバイオレンス)のまま、ホアキン・フェニックスのジョーカーがさらにジョーカーをリブート。
ヒースのジョーカー観てたら、普通だったらジョーカー役なんて引き受けないと思うんだけど、そこを引き受けて、さらに昇華させてるホアキンと監督のクリエイティブなパワーが怖い。
ダークナイトの前日譚としても、ちゃんと破綻なく成立させてる脚本も見事。
こんだけ世界から痛めつけられたら、アーサーがジョーカーになるのも分かるし、ウェインがバットマンになるのも分かる。
ジョーカー観てからダークナイト・トリロジー観たら、また深みが出るあたりも壮絶に巧妙。
アーサーがジョーカーに支配された瞬間って、一瞬恋人みたいになってた母娘を殺したときだろうけど、そこ越えちゃったらダークサイドに堕ちるのも仕方ない。
ジョーカーのダンスが鬼気迫ってて痛いくらい。
笑うこととか、笑顔でいることの裏側いっちゃってるのも参った。
喜劇と悲劇は、主観の問題ということを描き切ってる凄みがあった。
バットマン出てこないし(ちょっと出てるけど)、R15なのに、この映画が大人気で観客動員数も凄いというのがステキ。
映画でも音楽でも小説でもゲームでも、何年かに1本くらい、それまでの流れを変えちゃう突然変異みたいな作品が出てくるけど、正にそういう1本だった。