THE DARK KNIGHT RISESを観に行く前の復習週間。
先日のBATMAN BEGINS(こちら)に続いてTHE DARK KNIGHTをiTunesでレンタル。
劇場で観た後にDVDで数回観てますが、最後に観てから時間が経ったので内容ほとんど忘れてた。
忘れるってのはステキ。
忘れてるお陰で、これまたびっくりするくらい面白い。
だいたい最初に登場するバットマンは偽物だし、最後は追いかけられて逃げて行くヒーローなんてありえん。
ここまで崩しちゃってOKと言わせたクリストファー・ノーラン凄い。
バットマンのマントの様に、映画全編を覆う、黒を基調にした濃淡の強い引き締まった絵作りの美学。
たいていが夜のシーンということもあるが、いちばんカラフルだったのはバットマンがジョーカーを尋問するシーンのジョーカーの衣装だったかも。
あれだけ薄汚れたジョーカーが一番華やかっていうまとめ方はさすが。
なんというか、このサーガ感はゴッドファーザーに近い。
ゴッサムシティのシーンも、普通の町並みなのに、看板やテキストデータを排除するだけでかなりファンタジーになっている。
頻繁に登場するテキストといえばパトカーに描かれたGPD(ゴッサム警察)という文字だけ。
これだけで異空間っぽく仕上げるのってセンスよすぎる。
マトリックスの町並みのシーンの日常と現実と、非日常と夢が交錯する雰囲気に近い。
案の定、ヒース・レジャーは最高。(ブロークバックマウンテンは必見)
…で、ブロークバックマウンテンといえば、ヒースの相棒役はジェイク・ギレンホール。
THE DARK KNIGHTに出てるのはお姉さんのマギー・ギレンホール。(レイチェル役が代わってるのはなんで?)
この姉弟も、前に出過ぎない感じがとてもいい。
脇を固めるマイケル・ケインもモーガン・フリーマンもいい。
ゲーリー・オールドマンもいい。
そしてクリスチャン・ベール!!
バットマンでこれだけブレイクしてるのに、さらにターミネーター4ではジョン・コナー役なんだから凄い。
スターウォーズでハン・ソロ役をやりながら、ブレードランナーでデッカード役をやってるハリソン・フォードに匹敵する。
それでいてパラノイアックな感じはデ・ニーロ級。
これだけブレイクしているのに、ボクサーの映画(タイトル忘れた)なんて、昔強かったボクサーが落ちぶれてドラック中毒で禿げで歯抜けみたいな汚れを演じてるんだから、その幅の広さはすごい。
いつも二枚目役のトム・クルーズやブラッド・ピット(12モンキーズではやや汚れ役でこれがいちばんハマり役。しかも大好きな映画)なんかと格が違う気がした。
もう少し軽妙に狂ってればジョニー・デップ路線なのかも知れないけれど、なんだかひたすらにストイックで暗くて手がつけられない。
ずっとビジュアルに捕らわれていたんですが、やっぱりシナリオの完成度はピカイチ。
構想としてはヒース・レジャーのジョーカーで続編だったのでしょうけど、それが許されない状況になってRISESに繋がって、さらにオープニングであんな事件が起きちゃうんだから凄い。
呼び寄せちゃってるとしか思えない。
そうそう…。音楽がほとんど鳴ってないのも独特で重厚感ある。
ファンタジーなのに徹底的にリアリズムというノーラン節が極まっている。
「人はなぜ堕ちると思う? はい上がるためさ」
というのがビギンズの台詞。
「夜明け前が一番暗いんだ」
というのがダークナイトの台詞。
RISESはどうなってるのだろう?