亡くなった親父もまだ健在なお袋も動物好きだったので、実家では犬や猫が常に一緒にいた。
完全にその影響だと思うが、社会人になって独り住まいして見るとお金や時間や地位や名声ややりがいなどより、足りないのは犬だと思った。
会社を辞めて独立してラブデリックを設立するとき(28歳のとき)に、タオを飼った。
当時はインターネットなんかまだなかった時代。スクウェアで机を並べていて、後に一緒にラブデリックで仕事することになった友人の桂大がパソコン通信で子犬が里親募集をしてると教えてくれた。
冷やかしで見に行っただけなのに、帰りの電車ではティッシュのハコに入れたタオを貰ってきていた。
当時1.5キロで今は18キロ。
ベッドと壁の隙間に落ちて鳴いていたのを覚えている。
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仕事にそつなく、タオの面倒も見られる大人になりたいと思っていたので、タオを飼い始めてからの12年は、1日2回(手伝ってもらうことも多々あるけれども)の散歩を欠かしたことはない。
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何があっても看取ってやると約束して飼い始めた犬なので、何があっても看取ってやる。
どんだけ重い病気にかかってもタオよりは先に死なない覚悟がある。
しかしそれは、逆を言えば、タオは先に死ぬということだ。
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酒でも飲まないとやってられないので、食欲もないまま足下で寝ているタオをつまみに赤ワインをガブ飲みした。
タオをつまみと言っても、現状は最悪のつまみなので、酒が湿っぽくなるのがいけない。